矢板市長井-藤原町藤原 栃木縣道六三號線舊道 【其一】

2676年 1月 3日 2月 9日 2677年 4月 4日 探訪

 【現在地】

 栃木縣道六三號線に關する報告も此等、
【上河内村中里-宇都宮市馬場通四 栃木縣道六三號線 通稱田原街道舊道】
【河内町上田原-宇都宮市大曾二 田原街道舊々道】
【上河内村今里-鹽谷町上平 栃木縣道六三號線舊道】
【鹽谷町大宮-上平 栃木縣道六三號線舊道】
に續いて五囘目であります。

 して、今囘は東荒川ダム建設に伴つて附替られた部分、鳥羽温泉から先と、其儘藤原町藤原の起點迄の舊道部分、主に廢道と化してゐる部分が多いのでありますが、 其等を辿つて行き度いと思ひます。

 今更乍でありますが、栃木縣道六三號線は昭和卅九年に制定された縣道であります。
特に今囘辿る道の多くは後年に成つてから、縣道として制定される爲に新設された道が大部分だと思ふのでありますが、扨、附替に成つて仕舞つた現在は如何成つてゐるのでせうか。

 其ではいざ、參りませうか。
 【現在地】

 但し此笹薮の部分が現道との分岐點だと云はれても、一體何人の人が氣附でせうか。

 斯うして見ますれば、地面の感じからして、辛うじて小さい澤を渡る樣にな橋と云ふか、暗渠に成つてゐると云ひますか、さう云ふ感じに成つてゐると云ふのが御分り戴けるでせうか。
 藪を分入つて見ると、何故か右手を塞ぐ樣に新入防止柵が在るのでありますが、之は澤への轉落防止共思へませんので、 元々は道路側からの新入を防ぐ爲に置かれた物が、誰かが避けて其儘に成つてゐると云ふ状態でせうか。

 と云ひますか、今更激藪の此處へ入つて來るの何て野生動物の類か電線の點檢の人、若くは拙の樣に廢道好き程度でせう。
 中は一應廣場の樣に成つてゐるのでありますが、此處は元からの路盤部分では無い樣な氣が致します。
 さうして、左手を見ますと路盤跡の樣な部分を見附ましたので、其方に向つて歩み始めました處、此雪の下は澤だつた樣でありまして、思ふ樣に不渡、先に進めませんでした。
 嗚呼、一筋に見える元の道筋。
何處か行ける場所を探しませう。
 少し現道を戻つて見ますと、斯樣に立派な石積の擁壁が見えるのであります。
 手荒く立派でありますよね。

 流石に供用廢止後四十年程は經つてゐるからでせうか、擁壁の隙間から生えた木々が立派に育つて居りますよ。
 素晴しい、結構な勢ひで高度を稼いでゐると思ひます。

 まあ其分、此方も現道で下つてゐるのでありますがね。
 【現在地】

 して、何とかして元の路盤の上に立ちました。

 一見しますと大した事の無い藪だらうと思つてゐたのでありますが、正直、蔦が多くて案外進むのが厄介な状態であります。

 で以て、案外落石が有るのが意外でありました。
右手の斜面には混凝土の擁壁で造られた現道しか無いのでありますが。

 若かして、其上から落ちて來てゐると云ふ事なのでせうか。
 何か大きな石が竝んで居ります。
 と思ひましたら、崩落地點でありました。

 擁壁の一部は其儘殘つて居りますので、目地は混凝土て固められてゐるのでありますね。

 併し此置かれた石の苔生具合からしまして、相當以前に置かれた物なのでは無いでせうか。
と云つても何時頃の物なのか知りませんが、未だ人が出入してゐた頃の名殘だらうと推察致します。

 て、其は林業か山菜採り等でせうか。
 崩落地點から少し進みました。

 相變らずの手強い藪であります。
 が、流石に之は嚴しいであります。

 もう帽子は何度も落とすわ蔦が足に絡み附て轉びさうに成るわ等で、此處迄で消失點迄の踏破は諦めました。
 【現在地】

 だつて、上から見ますと斯樣な有樣でありますもの。
 【現在地】

 木々が生えてゐ無い處、笹薮の部分が何と無く平場に見え無いでせうか。
 多分之が舊道の路盤部分だと思ふのでありますが、確めに行くかと云はれればもう行く氣は無いであります。
 斯うして電線が通つてゐるのが舊線形の證なのでありますが、之、何かしらで整備と成つた場合、電力會社人達泣きますわな。
 もう直現道に合流する邊なのでありますが、如何せん高低差が有り過ぎる樣に思ひます。
 と云ふ處で澤に何か混凝土構造物が架つてゐると云ふか倒壞してゐると云ひますか、さう云ふ感じで在るのでありますが、此邊で渡つてゐて、 現在の道筋と合はさる樣に成つて來る筈であります。
古い航空冩眞等で見る限りは。
 【現在地】

 して、多分此處が合流點だつたであらうと思はれる處を振返つて見てゐるのでありますが、勿論其痕跡は分りませんでした。

 因に此處迄の部分、昭和廿三年の航空冩眞では確認不出來、昭和廿七年の航空冩眞では確認出來ますので、其間に出來た道と見て間違無いと思ひます。

 さう考へますと、戰後間も無くの頃の公共事業と云ふ感じで、中々に趣深い部分では無いかなと思ひました。

 其と、意外と早く縣道としての建設も始まつたのかなと云ふ推察も出來るのでありますが、其邊は如何なのでありますかね。

 【其二】に續く。

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