上河内村高松 前久保橋

2673年 10月 7日 探訪

 今、全國には六百を越える數で廢物件と化してゐる高速道路の架道橋が在るさうであります。

 と云ひますか、其依り先に某所の掲示板を見てゐました處、さう云ふ物件の事が書かれて居りまして、若しかして近邊にも在るのでは無いかと思ひ、 相も變らず航空寫眞を眺めてゐました處、怪しい物件を二つ程發見致しました。
而も近場でありましたので、是は是非見に行くべきだらうと思ひ遣つて來ました。

 まあ、以前から山間部の架道橋を見ては、一體誰が利用するのか疑問な所も結構見掛けて居りましたので、一寸其處の處如何なのか知り度いと云ふ氣持ちも有りましたので、 是は丁度良い機會だらうと思ひ、今囘の訪問と相成つた譯であります。

 と云ふ事で一本目。
先づは此處を左折して件の物件へと向ふ事に致しませう。

 まあ、本當に此處で良いのか何度もタブレツトの地圖を確認致しましたよ、實際。
 嗚呼、早速素敵で良い景色であります、
舖裝の破具合が尚更に良い雰圍氣であります。

 幅員は5ナンバア車で一杯と云ふ感じであります。
其所爲でせうか、土手に車輪の痕が在りますね。

 して、直に分岐であります。
 勿論、左の砂利道に、であります。
 斯う云ふ砂利道の景色を見ると何時も思ふのであります、之つて戰前からずうつと變ら無い景色ぢや無いのかなあ、と。
若しかしますと、轍や砂利敷以外は江戸時代からも一緒ぢや無からうか、等々。

 勿論、此處も分岐でありますよ、右側に。
 まあ、或る程度は想像して居りましたが、ええ。
之見て此先に現役の架道橋が在ると思へる人居たら素晴らしいと思ひます。

 もう轍が輕トラとかの其では無く、無限軌道の其だと思ふのであります。

 と云ふか、折た枝、一體何時からあの儘なのでせう。
 自轉車で上がつて來るのは面白かつたのでありますが、途中で水路が横切り、其處からコンクリート舖裝に成つてゐたのでありますが、 見事に苔生してゐた上に結構な坂でありましたので、滑るわ前輪が持上るわで危かつた爲、果樹園の入口邊に自轉車を置き、徒歩に切替ました。

 先程の小特と思はれる轍は、きつと其果樹園に向つてゐたのだらうと思はれます。

 して、此處からはガアドレイルが在るのでありますが、其以前に此先に車兩が進んだ痕跡は無い樣な感じであります。
少く共今囘の直近迄は、でありますが。

 因に、ガアドレイルは今時のと同一の型でありますね。
 木が成長し、少しガアドレイルに負荷を掛けてゐる樣にも見えます。

 多分其内壓曲る樣な氣が致します。
若くは銜へ込む、とか。
 うわあ。

 之でも下、東北自動車道であります。
 前日が雨模樣、と云ふか臺風だつた所爲か、すつかり水溜りに成つて居ります。
其だけ、排水枡を塞ぐ程に土が溜つてゐると云ふ事でありますが、まあ、多分、暫く放置状態だと云ふ事でありますよね。

 と云ふか、横斷幕が掲げられてゐるのでありますから、誰かしら定期的に訪れては附替されてゐると云ふ事、でありますかね。

 其にしましても未整備状態だと思ひますが。
 不取敢、此處が高速道路の架道橋だと云ふ證據をば。

 少し見方が變はりましたでせうか。
 泥の上には色々な足跡が。

 うん、混り合つてゐて何が何れとか判別難しいのでありますが、不取敢豬と熊が無い樣でありますので、少しは安心であります。

 念の爲に鈴は鳴らして歩いて居りますが。
 まあ路上觀察は程々にして措いて、そろそろ先に進みませう。

 と云つても之でありますからね、如何しようか一寸考へて仕舞ひます。

 因に、金網上邊から眞直ぐ横切つてゐる一本の線は蜘蛛の絲であります。

 黄色くて、丸で化纖絲の樣でありました。
 目の前の薮は距離にして數米程度でありまして、其を越えると斯う云ふ具合に道らしき樣相を示すのでありますが、 何か、別に普通の放置林道だらうと思ひ、早々に引返しました。

 と云ふ事で、次行きませう。
 併し、來た道も斯う云ふ眺めに成つてゐるのでありますよね、實際。
 ぱつと見、もう道ぢや無く成つてゐると云ふつても良いのでは無いでせうか。

 でありますので、看做廢物件と云ふ事で宜しいのでせうか。
 ガアドレイルの位置からの眺めは斯う云ふ素晴らしさであります。

 其はとつても長閑で良いのでありますが、サアキツトを走る自動車の音がしつかり聞こえますので、正直落着ません。

 ふと思ふのでありますが、ノオマルの樣な靜かさでは駄目なのでせうか。

 併しまあ、或る意味興味深い物件でありました。
結局、林業の衰退と共に、と云ふ感じなのでせうね。

 以上、御附合有難う御坐いました。

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